なんとか最終天使を退散に追いやった一同はエイサー王城に案内されて事情の説明を受けた。
青年はエイサー王国王子のエイスワートと名乗り、天使になっていた2人の少女はそれぞれカノンとトリシアと名乗った。
その話によると、この世界では50年前に冥界から迷い出た魔物が世界の八割を焼き尽くすという事件が発生し、
人類滅亡の寸前・・・神々に派遣された七人の守護天使よって救われるという事があった。
それからは平穏な月日が流れたのだが、最近になって再び魔物が姿を現すようになり、対抗手段として50年前に魔物と共に滅びたとされる天使を目覚めさせる計画がエイサー王国で進められた。
しかし実は50年前に滅んだ天使は魔物に倒されたのではなく、エイサー王に協力した『第1守護天使セラ』によって1人1人と滅ぼされていたらしい。
そして天使の力を扱える人間を集めて封印を開放し、最終天使の力をエイサー王のものとする事・・・が『天使覚醒計画』の真の目的であり、最近になって出現していたクリーチャーは実は計画を阻止する為、神々によって派遣されていた神の眷属だったとの事であった。
ゼーベン:で、さっき吹っ飛ばされたのがその第1守護天使な訳か?
GM:そういう事。さっきも言っていたけど、用済みって事だったんだろうね。この世界の神々の知識なんかも全部聞いていたらしいしね。
シュウジ:で、こちらに残っている天使は2人な訳?
GM:いや、4人・・・かな? さっき倒れていた内の2人はそうだからね。
もっとも、この4人は全員普通の人間に天使の力を組み込んだタイプなので、力は第1守護天使と比べると劣るよ。
彼女は真の天使だったからね。
D:つまり戦力的に個々では歯が立たないと・・・
GM:そうだね。だからエイスワートは「異世界の事件に巻き込んでしまった上に申し訳ないのだが、協力してもらえないだろうか?」と言ってくるよ。
ゼーベン:しかし、さっきは完全な状態で無かったからどうにか戦えたけど、本調子になったら我々とてどうにもならんのと違うか?
D:それに異世界の事に我々があまり関わっていいものか・・・
サリーナ:でも・・・多分、異世界の事件では済まないと思うけど。
D:それはまた何故に?
サリーナ:伝承によると8つの世界は央界を中心に同じ時間の中で存在している訳よね?
そして私達は未来から本来の時間へ戻る寸前にこの世界へ飛ばされた・・・という事は・・・
D:そうか! もしあのジジイがこの世界を支配したら、元々俺らがいた世界の平行世界が支配される事になるんか!?
サリーナ:そして神々の知識を得ているという事は、いつ私達の世界へ影響が出ても不思議ではないのでは?
ゼーベン:あっ・・・確かにな。
GM:そういう事だね。ちなみに言っておくと最終天使は本来この世界の至高神と思っておいてもらって結構だよ。
D:・・・絶対攻めてくるな。
シュウジ:まあそれに、困っている人を助けるのは流派東方不敗の勤めよ!
この世界の天使システムは気に入らないけどな。
GM:(システムって訳でもないが・・・)「それは俺も同感だ。」とエイスワートが言うね。
ここで現状の確認をする一同。
まずエイサー王国の戦力が4人の天使。(第2天使メリース、第3天使カノン、第4天使セリア、第7天使トリシア)
しかし、力を制御するのに必要な『賢者の石』の不足によって既に稼働が難しくなりつつあり、特にメリースとセリアは危険との事。
また、第5天使だったセンカという少女は意識さえ戻ればそれなりの魔法の使い手だが、眠ったままであるとの事。
そして一般兵士は戦力外との事である。
ゼーベン:・・・となると、その『賢者の石』の確保が必要な訳か。
GM:それに関しては採石場を以前破壊されていて、この国にはどうにもならないらしい。
しかし、トリシアの故国であるテラ共和国にはまだ少しあるらしいよ。
そして何やら少し気になる事があるって彼女は言っている。
D:ほう・・・どんな事?
GM(トリシア):それは調べてみてからでないと何とも・・・
シュウジ:むう・・・この国の兵士ってザコクラス相手でも役に立たないのか?
GM:立たないね!(きっぱり) 比較するならラース=フェリアの一般人並の力しか無いからね。
基本的なポテンシャルに差があるんだよ。 だから天使達が苦労する相手でも君ら互角以上に戦えただろ?
シュウジ:本当に宇宙開拓史な訳やなぁ(苦笑)
GM:そう・・・のび太くんでさえ、あちらの世界ではプロの戦闘員より強くなっただろ? 理屈は同じだね。
もっとも、この国ではないのだけども機械を使って、ある程度の敵と戦えるようにしている国もあるよ。
ゼーベン:協力を仰いだら?
GM(エイスワート):そうしたいトコなんだが、センカ(何とか一命は取り留めたものの、意識が戻らない子)の親元の国でな・・・
シュウジ:娘の意識が無い状態では協力要請はしにくいというわけか。
GM:そういう事だね。彼女、外傷は治っているのだけど心が意識の奥に閉じ込められているみたいで戻らないらしいよ。
セラによって無理やり天使の力を体外に摘出されたらしくてね。
D:なんとか醒まさないといけないって訳か。
GM:すると「僕の里に精神力の活性化を助ける秘宝があるって聞いた事があるよ」とカノンが言ってくるよ。
D:なら取ってくれば?
サリーナ:・・・問題はどちらを優先させるかね。それぞれ案内が必要と思うけど、二人揃ってこの城を離れる訳にはいかないでしょうから。
協議を重ねた結果、テラ共和国へ行く事を優先する事にした一行。・・・正解だね(^^) もしこちらを後回しにしていたら、後で大変な事になっていたのだけどね〜♪
一行は明日の朝に出発する事としてそれぞれ個室で休養する事となった。そしてその夜・・・
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